らかん通信3 桂岩寺の500の輪 | お知らせ

2016/06/27 16:22

らかん通信3 桂岩寺の500の輪

ある時にお話しをさせていただいた方との会話の中で
「桂岩寺には500の輪がありますね」と温かくお話しいただいたことがありました。
昭和41年11月5日に火事より本堂が再建されました。
設計者は浦清様、施工者は本田工務店様でした。
その中で現場監督として工事の指揮を勤められていた方に九刕博様という方がおられます。
大変厳しい監督様で工事のことでよく住職と意見を交えていたとお聞きしております。
そんな九刕博様が本堂再建工事の過程で譲らなかったのが本堂正面に掲げた500の輪でありました。本堂再建当時はまだ五百羅漢様が70体ほどしかなく今の様子とは全く違うものでした、その為か九刕博様は輪っか一つを羅漢様に例えて、円が示す、始まりを訪ねて終わりを知るように、羅漢様がまた500体揃うように、戻っていらっしゃるようにとの思いから500の輪を正面に掲げたそうであります、実際には500個はきれいには並ばなかったようで、同じく仕事をしている方々からは500ほどの数でよいのではないかとの意見もあったようですが、頑として意見を曲げることはなく、部分部分で重ねるようにして輪の数を500個にそろえてくれたようであります。
現代に多くの建物があり、多くの方々が従事されておられますが、500の羅漢様が戻ってくるように、仏様の為にという想いで勤められることは多くはないのではないかと思います。
昨年11月で本堂が再建して50年を迎えました、九刕博様の誓願の元、今では羅漢様が526体桂岩寺に安置しております。
春先より屋上防水、外壁改修の工事を行ってまいりました、6月の五百羅漢供養に工期も間に合うことができ安堵しております。500の輪もきれいに塗りなおすことができました。
500の輪の思いを伝えてゆけるように精進してゆきたいと思っております。
桂岩寺の羅漢様の中に指し物をもった羅漢様が1体おいでになります、現場監督であられた九刕博様の羅漢様であります、この羅漢様を見るたびに寺の為に羅漢様の為に力を尽くされた九刕博様のお姿が浮かんでくるようであります。

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